卒FIT後に「もっと高い単価で売電したい」と思っても、「手続きが面倒そう」「何が必要かわからない」と二の足を踏む方は少なくありません。

実際には、売電先の変更はWebで完結でき、工事も停電も不要です。この記事では申し込みから切り替え完了までの流れを、つまずきやすいポイントも含めて具体的に解説します。

切り替え前に確認すべき3つのこと

手続きを始める前に、以下の点を確認しておきましょう。

1. FIT期間が終了しているか

FIT期間中(10年間)は、買取先を自由に変更することはできません。FIT期間の終了日は、太陽光発電を設置した際に届いた**「設備認定通知書」または電力会社からの「買取期間満了のお知らせ」**で確認できます。

FIT期間がまだ残っている場合は、満了前に切り替え先を検討しておき、満了月に合わせて申し込むのがスムーズです。

2. スマートメーターが設置されているか

新電力への切り替えにはスマートメーターが必要です。2026年現在、ほとんどの家庭で設置済みですが、未設置の場合は切り替え先の事業者が手配してくれます(費用は無料)。

確認方法:

  • メーターにデジタル表示があれば → スマートメーター
  • 円盤が回転するアナログ式 → 従来型メーター(交換が必要)

3. 現在の買取先と契約内容

今の売電先がどこか(大手電力の自動移行プランか、すでに別の事業者と契約しているか)を確認しましょう。確認方法は以下のいずれかです。

  • 電力会社からの検針票マイページで確認
  • 卒FIT時に届いた買取プラン移行通知を確認

必要な書類・情報

申し込みに必要なものは以下の通りです。事前に手元に用意しておくと、手続きが5分程度で完了します。

必要情報確認方法備考
契約者名義検針票・電力会社マイページ現在の電力契約と同一名義
供給地点特定番号(22桁)検針票・電力会社マイページ「地点番号」とも呼ばれる
現在の電力会社名・お客様番号検針票・電力会社マイページ売電契約のもの
太陽光発電の設置容量設備認定通知書・設置業者の資料kW単位
メールアドレス新電力からの連絡用
口座情報またはクレジットカード売電収入の振込先

供給地点特定番号が見つからない場合は、現在の電力会社に電話すれば教えてもらえます。

切り替えの具体的な手順

Step 1: 切り替え先の事業者を選ぶ

お住まいの地域で利用できる事業者と買取単価を比較しましょう。

主な比較ポイント:

  • 買取単価(円/kWh)— 最も直接的な収入差
  • 対応エリア — 事業者によって対応地域が異なる
  • セット割引 — 電気の購入契約・ガス・通信とのセット割
  • 契約期間の縛り — 解約金の有無

お住まいの地域の事業者は買取比較ページで簡単に比較できます

Step 2: 新しい事業者に申し込む

ほとんどの事業者はWebフォームから申し込みができます。

申し込みの流れ(一般的な例):

  1. 事業者のWebサイトで「余剰電力買取」「卒FIT買取」のページを開く
  2. 申し込みフォームに必要情報を入力
    • 契約者名・住所
    • 供給地点特定番号(22桁)
    • 現在の電力会社・お客様番号
    • 太陽光の設置容量
    • 振込先口座
  3. 契約内容の確認・同意
  4. 申し込み完了メールを受信

所要時間: 約5〜10分

Step 3: 現在の電力会社への連絡は原則不要

新しい事業者が、現在の買取先への解約手続きを代行してくれます。自分で現在の電力会社に連絡する必要は基本的にありません。

ただし、以下の場合は事前に連絡が必要なこともあります:

  • 現在の事業者と期間の縛りがある契約をしている場合
  • 電気の購入契約(買電)と売電をセットで契約している場合

Step 4: 切り替え完了を待つ

申し込みから切り替え完了まで、通常2〜4週間かかります。

切り替えの流れ:

  1. 新事業者が申し込み内容を確認(1〜3営業日)
  2. 現在の事業者への切替手続き(新事業者が代行)
  3. スマートメーターの遠隔設定変更
  4. 切り替え完了通知がメールで届く

この間、停電は発生しません。工事の立ち会いも不要です。

Step 5: 初回の売電収入を確認

切り替え完了後、最初の検針で新しい買取単価が適用されます。

  • 新事業者のマイページで売電量・収入を確認
  • 振込は翌月〜翌々月が一般的
  • 明細に新しい買取単価が反映されているかチェック

切り替え時の注意点

買電(電気の購入)契約とは別

「売電先の変更」と「電気を買う先(買電先)の変更」は別々の手続きです。売電先だけを新電力に切り替えて、買電は今まで通り大手電力のままにすることもできます。

ただし、買電と売電を同じ事業者にまとめるとセット割引が適用される場合もあるので、合わせて検討する価値はあります。

切り替えのタイミング

  • 卒FIT直後に申し込むのがベスト。何もしないと大手電力の低単価プランに自動移行されます
  • すでに自動移行済みでも、いつでも新電力への切り替えは可能です
  • 月の途中で切り替わる場合は、日割り計算が適用されるのが一般的です

解約金の確認

一部の事業者は1〜2年の契約期間の縛りを設けています。将来また切り替える可能性を考えると、解約金なし・契約期間の縛りなしの事業者を選ぶのが安心です。

太陽光パネルの出力制御

地域(特に九州・四国エリア)によっては**出力制御(出力抑制)**が実施される場合があります。出力制御は売電先に関係なく発生するため、新電力に切り替えても解消されるものではありません。

売電先変更でどれくらい収入が変わる?

年間発電量4,500kWh・自家消費率30%(売電量3,150kWh)の場合:

売電先買取単価年間売電収入大手との差額
大手電力(自動移行)8.0円/kWh25,200円
ENEOSでんき9.0円/kWh28,350円+3,150円
東京ガス9.5円/kWh29,925円+4,725円
Looopでんき10.0円/kWh31,500円+6,300円

切り替えるだけで年間3,000〜6,000円の増収になります。10年間で考えると3〜6万円の差です。

さらに蓄電池を導入して自家消費率を上げると、売電に頼らずとも大幅に電気代を削減できます。シミュレーターで効果を確認してみましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 賃貸住宅でも切り替えできますか?

太陽光発電の所有者(契約者)であれば可能です。ただし、賃貸で太陽光パネルが建物付帯設備の場合は、大家さん・管理会社に確認が必要です。

Q. 切り替え時に太陽光の発電が止まりますか?

いいえ。発電も売電も止まりません。切り替えはスマートメーターの遠隔設定変更のみで完了します。

Q. 一度切り替えたら元に戻せますか?

はい。解約金が発生しない契約であれば、いつでも別の事業者に再切り替え可能です。大手電力の買取プランに戻すこともできます。

Q. 蓄電池を設置している場合、手続きに違いはありますか?

基本的な手続きは同じです。蓄電池で自家消費した分は売電量から差し引かれるため、売電量が少なくなる=買取単価の差による影響も小さくなる点は理解しておきましょう。蓄電池がある場合は、売電収入よりも自家消費による電気代削減のほうがメリットが大きくなります。

Q. 申し込みに費用はかかりますか?

ほとんどの事業者で初期費用・切替費用は無料です。スマートメーターの設置・交換が必要な場合も無料です。

まとめ

ポイント内容
手続き方法Webで5〜10分、工事不要
必要なもの供給地点特定番号・お客様番号・口座情報
切替期間申し込みから2〜4週間
費用無料(初期費用・切替費用なし)
年間増収約3,000〜6,000円(買取単価の差分)
停電なし

売電先の切り替えは、5分の手続きで年間数千円の収入アップが実現できる、最もハードルの低い節約術です。まずはお住まいの地域で利用できる事業者を買取比較ページで確認してみてください。

また、卒FIT後は蓄電池で自家消費率を上げることで、売電収入以上の経済効果が期待できます。蓄電池導入の効果は無料シミュレーションでお試しください。